ED治療薬が勃起不全に効くメカニズムを分かりやすく解説

勃起不全の治療

バイアグラなどのED治療薬を飲むとなぜペニスが勃起するのでしょうか?「そんな理屈などどうでもよろしい」という方もいるでしょうが、興味を持つ方のためにそのメカニズムについて今回はお話したいと思います。
話が少し理屈っぽくなりますが、できるだけ分かりやすくお話ししますので、お付き合いください。

勃起は血液の充填作用

しぼんだ風船が膨らむのは空気がぎゅっと詰め込まれるからですが、ペニスが硬く勃起するのは ペニス内に血液がめいっぱい流れ込んで、一時的に流出しなくなる(出口の静脈が閉じられる)からです。「骨が入っているの?」と聞かれたときはノーと答えてください。
勃起するには非常に細い陰茎動脈から充分に血液がペニスに流入しなければなりません。また、その血液はフィニッシュまでちゃんとペニスに留まってくれなくては困ります。
EDは、ペニスへの血液の流入が悪くなり、かつ流出しやすくなる症状です。ED治療薬には、陰茎動脈を拡張させて血流をうながすとともに、「勃起を終息させる酵素」の働きを阻害して、用事が済むまでペニスを中折れさせない働きがあります。

ED治療薬が「PDE5阻害薬」と呼ばれる理由

レム睡眠中の生理的な勃起(いわゆる朝だちもその1つです)を例外として。勃起は性的な刺激を受けたときだけに生じます。男性には、性的刺激を受けると陰茎動脈だけを選択的に拡張させるという機能があるのです。(他の毛細血管にも多少の影響があり、性的に興奮すると頬が赤くなったりします)
こんなことが可能なのは、「ペニスの海綿体にある神経は、脳から性的刺激の信号を受けると一酸化炭素(NO)を放出する」という仕組みがあるからです。ここから勃起への一連の生理反応がスタートします。このNOが海綿体平滑筋の細胞にある「サイクリックGMP」という神経伝達物質を活性化して、平滑筋を弛緩させて海綿体に血液を導きます。
しかし、ちょっとした性的刺激ですぐカチカチに勃起するとか、いったん勃起したらいつまでも勃起し続けるというのは困ります。そのためペニスの海綿体にはサイクリックGMPの活性化を抑制する「PDE5」という酵素があり、勃起の解除の役目をしています。
EDは、このPDE5の作用でペニスが血液を十分に溜めきれない、あるいはせっかく溜めた血液を成功終了前に流出の貯留を終了させてしまう症状です。ED治療薬は「このPDE5の作用を阻害することで勃起を促進、維持するお薬です。

PDE5とは

上記で勃起とED治療薬のメカニズムについての基本的なお話は終了です。
ここからは、いわば「勃起の敵役」であるPDE5という酵素について一言補足します。「その酵素には積もる恨みがある」という方はご一読ください。
PDE5とは、一酸化窒素(NO)の細胞内メッセンジャーであるサイクリックGMPを分解する酵素で ,陰茎海綿体に豊富に存在します。
女性が「不思議ね」と思うペニスの伸縮は、サイクリックGMPとPDE5の「力のせめぎ合い」の結果です。
PDE5の力が勝りがちなのがED症状で、ED治療薬(PDE5阻害薬)は,PDE5の作用を邪魔することで、勃起とその維持に力を貸します。

おわりに

多くのED症状は、勃起しないことではなく、硬さの不足や中折れが悩みの種です。この「もう少し」という形勢不利の状態の力強い援軍になるのがED治療薬だということが、この記事でご理解いただけたら幸いです。

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