使わないと衰えるものに筋力があります。脳の働きも使わないと衰えると言われています。筋トレ、脳トレという言葉はよく耳にしますね。もう1つ、使わないと衰えるものに男性の勃起能力があります。
今回は、50代、60代になってセックスに淡白になりつつある男性に「勃起習慣」の大切さについてお話ししようと思います。
陰茎リハビリテーションとは
陰茎リハビリテーションという言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。これは前立腺の摘出手術を受けた患者が、勃起に関わる神経のはたらきが回復するまでの期間、バイアグラなどのED治療薬を服用して、ときどき勃起させるというリハビリです。
最近の前立腺摘出手術は神経を温存する手術を行ないますが、それでも手術後に神経の働きが回復するまでに1年から1年半かかります。
その間は朝立ちもないので、そんな状態でずっとペニスを勃起させないでいると、陰茎海綿体の組織が委縮して、神経が回復しても勃起しにくくなります。立つけれども充分硬くならないとか、以前よりサイズが小さくなるのです。
それを予防するために手術後1カ月目くらいからPDE5阻害薬を飲んで勃起させるのが陰茎リハビリテーションです。
勃起力を保つためのリハビリがあることは、前立腺の手術を受けた人にだけ関係がある話ではありません。ペニスを時々勃起させ、陰茎海綿体をトレーニングすることで、勃起寿命を長くする効果が期待できるのです。
射精習慣も重要
勃起させるだけでなく、ついでに(?)射精させるのも男性寿命を伸ばす効果があります。
射精で精子が勢いよく放出されるのは、前立腺の平滑筋の収縮作用によります。まさに射精は前立腺の筋トレになるのです。
中高年になると10代、20代の頃より、射精の勢いがなくなり「飛距離」も短くなるのは男性の誰もが経験することです。しかし、それを放置するのと、できるだけ筋トレ(射精)するのでは、衰えの進行程度が違います。
「淫して漏らさず」などというのは自慢になることでありません。また、昔は「男が一生に発射できる精液の量は四斗四升だ」という都市伝説がありましたが、それを信じて出し惜しみするのは、精液の生産能力も射精力も低下させることになります。
おわりに
中高年の男性たちは会話では、しばしば「もう卒業ですよ」とセックスからの引退宣言が飛び出すことがあります。しかしこれは社交辞令というもので、もし本当に勃起や射精から遠ざかるとしたら、けっしておすすめできることではありません。
もちろん勃起や射精のためには性的興奮が必要です。性的な興味を持ち続けることで男性ホルモンの分泌が盛んになり、仕事にも健康にも良い影響が出ます。ぜひ勃起習慣、射精習慣とほどよい色好みの気持ちを忘れないことをおすすめします。