ED治療薬の副作用についての最大の誤解は「心臓に悪い」

ED治療薬と心臓の関係

ED治療薬は心臓に悪いと思っている方が非常に多くいます。しかし、それはED治療薬が発売された当時の不幸な事故によって作られた誤ったイメージです。この記事では、なぜそのようなイメージが作られたのか、ED治療薬は本当に心臓に負担をかけるのかについて分かりやすく説明しています。

ED治療薬が心臓に悪いというイメージがあるのはなぜ?

バイアグラが日本で発売されたのは1999年で「世界初の勃起不全治療薬」としてマスコミの大きな話題になりました。そんなときに報じられたのが「バイアグラによる腹上死」のニュースです。
この事故の原因は、狭心症でニトログリセリン(硝酸剤)を服用している人がバイアグラを服用したために、2つの薬の相乗作用で血圧が異常に低下したことです。バイアグラは元々狭心症の治療薬として開発されたもので、いわば薬を規定量を超えて使用したことに当たります。
あるいは、もともと性行為に耐えられないくらいに心臓が弱っていた人が、バイアグラによって勃起可能になりセックスをした、というケースもあるかもしれません。この場合、原因はED治療薬ではなく、心臓がセックスに耐えられなかったことです。
しかし、マスコミではこのような詳しい状況は説明されず、バイアグラを服用した人が性行為の際に突然死したと報じられたために、ED治療薬は心臓に悪いというイメージが作られてしまったと
考えられます。

ED治療薬を病院で処方してもらうときには、最初の問診で必ず「何か心臓のお薬を飲んでいませんか?」と聞かれます。これは狭心症の発作のときにニトログリセリンを服用する必要のある人にED治療薬を処方するのを避けるためです。

性行為自体はある程度心臓に負担がかかる行為です

心臓に病気のある人は、症状によって医師にジョギングやスポーツを禁じられることがあります。
運動はある程度心臓に負担をかける行為だからです。
性行為も運動の一種で、ある程度心臓に負担がかかるのはジョギングなどと同じなので、重い心臓病のある人は性行為を禁じられることがあります。これはED治療薬とは関係のない「性行為自体の心臓への負担」に対する医学的判断です。
ED治療薬自体は心臓に負担をかけるものではなく、血管を広げて血圧を下げるので、むしろ心臓の負担を減らすお薬だと言えます。もちろん、健康な人が心臓への悪影響を心配する必要のあるお薬ではありません。
大切なポイントは、医師に性行為を禁止されている場合(性行為に耐えられないくらい心臓が弱っている場合)は、ED治療薬を服用するしないに関わらず、性行為は控えるべきだということと、医師に禁止されるほどではなくても、心臓に病気のある人は、ED治療薬で硬い勃起が得られたとしても、張り切りすぎて激しいセックスをするのは控えるべきだということです。

心臓突然死について知っておきたいこと

ED治療薬の心臓への負担が気になる人は、心臓突然死について基本的なことを知っておいていただきたいと思います。
日本では年間約7.9万人(1日で約200人)が心臓突然死で命を失っています。公共施設や大規模な商業施設にAEDが設置されているのは、突然心臓が停止した人の命を救うためです。
心臓突然死の原因でとくに多いのは急性心筋梗塞で、その他に狭心症、心筋症、心不全、不整脈、弁膜症などがあります。
どんなときに突然の心臓停止が起きたかを、多い順に上から7つをご紹介します。(1989~1993年の東京都内の突然死 18,189件より データ引用元:日本心臓財団)

「スポーツ中」は<健康群1.1%、疾病群0.2%>、「性行為中」は<健康群0.5%、疾病群0.1%>と意外に低いランクでした。

おわりに

ED治療薬は心臓に悪い影響を与えるお薬ではありません。ただし、心臓に病気のある人は性行為自体が心臓にある程度の負担をかける行為なので、ED治療薬で勃起が得られたとしても、あまり激しい動きのセックスをするのは控えるべきです。

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